素因数分解・ルート・互除法の筆算|中学以降で使う筆算と虫食い算

方眼ノートとシャープペンシルを持つ手元に、素因数分解の筆算など中学以降で使う筆算を紹介する記事タイトル

当サイトは文部科学省の学習指導要領や国立教育政策研究所の調査など公的機関の情報と、教材・サービスの公式サイトの公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。教え方や書き方は学校・教科書によって違うことがあるため、学校で習った方法も大切にしてください。記事内には広告を含む場合があります。

中学の数学で、素因数分解の筆算や、ルートを小数に直す計算が出てきて『これも筆算なの?』と戸惑っていませんか。

結論から言うと、素因数分解の筆算も、互除法も、ルートの開平法も、根っこは小学校で習う割り算の筆算です。手の動きのどこが同じで、どこが違うかが分かれば、ぐっと身近になります。

この記事では、それぞれのやり方を例題つきで1つずつ追い、虫食い算や筆算の穴埋めの解き方もあわせて紹介します。

目次

中学以降の筆算は「割り算の筆算」の仲間

先に結論

素因数分解のはしご算は「割り算をくり返す」、ユークリッドの互除法は「あまりで割り直す」、開平法は「たてる・かける・ひく・おろすを2けたずつ」行う筆算です。どれも、小学4年生で習う割り算の筆算の動きが土台になっています。

『小学校の筆算とは別物』と思っている方も多いですよね。

実は、使う場面と手の動きを並べてみると、どれも割り算の筆算から少し形を変えただけだと分かります。

筆算使う場面手の動き似ている小学校の計算
割り算の筆算商とあまりを出すたてる・かける・ひく・おろす4年生で習う、この表の土台
素因数分解のはしご算数を素数のかけ算に分ける小さい素数で割って、商を下に書く。これをくり返す割り算(九九で割れるかを見る)
ユークリッドの互除法2つの数の最大公約数を出す割って、あまりで前の割る数を割り直す。あまりが0で終わりあまりのある割り算
開平法ルートを小数に直す2けたずつ区切り、たてる・かける・ひく・おろす割り算の筆算
虫食い算計算パズル・穴埋め問題一の位から、繰り上がりを考えて数を決める足し算・引き算・掛け算の筆算

割り算の筆算の手順に自信がない時は、先に割り算の筆算のやり方|たてる・かける・ひく・おろすの順番で確かめておくと、この先がずっと読みやすくなります。

小学校の割り算の筆算と、はしご算・互除法・開平法の手の動きを並べた図解
ここだけ注意

この記事の表の書き方は一例です。学校や先生によって、線の引き方や書く位置が違うことがあります。授業で習った書き方があれば、それに合わせてください。

素因数分解の筆算のやり方(はしご算)

素因数分解とは、ある数を素数だけのかけ算で表すことです。素数は、1とその数自身でしか割り切れない、2・3・5・7・11・13 のような数です。

この素因数分解を手で行う時に使うのが、割り算の筆算を逆さにしたような形の書き方です。

素因数分解の筆算の名前は?

『あの筆算みたいなもの、なんて名前なの?』と気になる方は多いです。

学校や参考書によって「はしご算」「すだれ算」などと呼ばれることがあります。決まった1つの名前があるわけではないので、授業で使った呼び方で覚えておけば十分です。

1764 を素因数分解してみる

1764 を例に、素因数分解の筆算のやり方を追ってみます。左に割る素数、右に割られる数を書き、商をどんどん下に書いていきます。

割る素数割られる数考えること
21764一の位が偶数なので2で割れる。1764÷2=882
2882まだ偶数。882÷2=441
34414+4+1=9 で3の倍数。441÷3=147
31471+4+7=12 で3の倍数。147÷3=49
7497の段にある。49÷7=7
7素数なので終わり

左の列と、最後に残った数をかけ合わせると、1764=2×2×3×3×7×7 です。同じ数をまとめると 2²×3²×7² になります。

かけ算で戻すと、2×2×3×3×7×7=1764 になるので合っています。

素因数分解の筆算の手順
  1. 一番小さい素数の2で割れるか確かめる
  2. 割れたら左に2、下に商を書く。割れなくなるまでくり返す
  3. 次は3、5、7、11 と、小さい素数から順に試す
  4. 下に素数が残ったら終わり
  5. 左の列と最後の数をかけて、もとの数に戻るか確かめる

どの素数で割ればいいか分からない時

素因数分解の筆算で、2・3・5・7のどれで割ればいいか迷う人は多いですよね。

そんな時は、割れるかどうかを見分ける目印を使ってみてください。

割れるかどうかの目印
  • 2で割れる: 一の位が 0・2・4・6・8
  • 3で割れる: 各位の数をたした数が3の倍数(1764 なら 1+7+6+4=18)
  • 5で割れる: 一の位が 0 か 5
  • 7で割れる: 目印は覚えにくいので、実際に割ってみる
  • 11で割れる: 一の位から交互にたして引いた数が 0 か11の倍数

大きい数はどこまで試せばいい?

1638 のような大きい数では、どこまで素数を試せばいいか不安になります。

1638 は、2で割って 819、3で割って 273、もう一度3で割って 91 になります。91 は 7×13 なので、1638=2×3×3×7×13 です。

試す素数は、残った数の「だいたいのルート」までで大丈夫です。例えば 91 なら、10×10=100 なので、10より小さい素数(2・3・5・7)まで試せば、割れるかどうかが分かります。

素因数分解の筆算の練習問題

問題はしご算で出てくる商答え
110110÷2=55、55÷5=112×5×11
858858÷2=429、429÷3=143、143÷11=132×3×11×13
16381638÷2=819、819÷3=273、273÷3=91、91÷7=132×3²×7×13

2進数への変換も同じ形

参考までに、10進数を2進数に変えるのも、はしご算とよく似た筆算です。2で割り続けて、あまりを下から読みます。

割る数割られる数あまり
2131
260
231
211
0

あまりを下から読むと 1101 になり、13 は2進数で 1101 です。8+4+1=13 で確かめられます。

ユークリッドの互除法の筆算

ユークリッドの互除法は、2つの数の最大公約数を出す方法です。素因数分解が大変な大きい数でも、割り算をくり返すだけで最大公約数が分かります。

『割り算をくり返すだけで本当に出るの?』と思いますよね。391 と 299 で試してみましょう。

391 と 299 の最大公約数

回割り算商あまり次にすること
1回目391÷299192割る数299を、あまり92で割る
2回目299÷92323割る数92を、あまり23で割る
3回目92÷2340あまりが0なので終わり

最後に割った数の 23 が、391 と 299 の最大公約数です。

確かめると、391÷23=17、299÷23=13 で、どちらも割り切れます。

ここが大事なところです

互除法の筆算では「前の割る数を、あまりで割る」が1セットです。割られる数・割る数・あまりを横に1列ずつ書いていくと、次にどの数を使うかで迷いにくくなります。

ユークリッドの互除法の筆算の書き方

ユークリッドの互除法の筆算は、割り算の筆算を横につなげていく書き方もあります。ただ、慣れないうちは上の表のように1回ずつ式を書くほうが、まちがいが見つけやすいです。

書き方よいところ気をつけること
1回ずつ式で書くどの数で割ったかが一目で分かる行が多くなる
割り算の筆算をつなげて書く紙のスペースが少なくて済む割る数とあまりの位置を取り違えやすい

なぜ最大公約数が出るの?

『どうしてこれで最大公約数が出るの?』と気になった方もいるはずです。

ポイントは、391 と 299 の公約数は、299 と あまりの 92 の公約数でもある、ということです。391=299×1+92 なので、両方を割り切る数は 92 も割り切ります。

割るたびに数が小さくなっていき、最後に割り切れた時の割る数が、はじめの2つの数の最大公約数になります。

ルートを小数に直す筆算(開平法)

ルートを小数に直す筆算は、開平法と呼ばれます。平方根の求め方を筆算で行う方法です。

電卓がない時に √2 や √3 のおよその値を出すことができます。手順は割り算の筆算と似ていますが、数を2けたずつ区切るのが大きな違いです。

√2 を開平法で求める

2 を小数点から2けたずつ区切って「2.00 00 00」と考えます。左の列で数をつくり、右の列でひいていきます。

手順左の列でつくる数式右の列の残り答え
112 をこえない一番大きい2乗は 1×1=12−1=11
21+1=2 のうしろに数を足して 24次の00をおろして100。24×4=96100−96=41.4
324+4=28 のうしろに数を足して 28100をおろして400。281×1=281400−281=1191.41
4281+1=282 のうしろに数を足して 282400をおろして11900。2824×4=1129611900−11296=6041.414
開平法でルートを小数に直す筆算の手順を並べた図解

√2 は 1.414 と続くことが分かりました。2番目の手順で 25×5=125 は100をこえるので、4 を選んでいます。

開平法の手順
  1. 小数点を基準に、数を2けたずつ区切る
  2. 一番左の区切りをこえない、一番大きい2乗の数をたてる
  3. ひいた残りに、次の2けたをおろす
  4. 左の列の数を2倍にして、うしろに入る数を探す(その数どうしのかけ算が残りをこえない一番大きい数)
  5. 3と4をくり返して、ほしい桁まで進める

なぜ2けたずつ区切るの?

開平法でいちばん多い疑問が、この「2けたずつ」です。

これは、1けたの数を2乗すると1けたか2けた、2けたの数を2乗すると3けたか4けたになるからです。答えの1けたが、もとの数の2けた分にあたるので、2けたずつ区切ると、答えの各位が1つずつたっていきます。

もとの数2乗した数2乗した数の桁数
391けた
9812けた
101003けた
9998014けた

√70 を小数第2位まで

もう1問、√70 も開平法で求めてみます。「70.00 00」と区切ります。

手順左の列でつくる数式右の列の残り答え
1870 をこえない一番大きい2乗は 8×8=6470−64=68
28+8=16 のうしろに数を足して 163600 をつくる。163×3=489600−489=1118.3
3163+3=166 のうしろに数を足して 166611100 をつくる。1666×6=999611100−9996=11048.36

√70 は 8.36… と続きます。もう1けた進めると 8.366 になるので、小数第2位までの四捨五入なら約 8.37 です。

ルートを小数に直す筆算は、平方根の近似値を出す時に役立ちます。

√1808 を小数第1位まで

けたの多い数でも、やり方は同じです。√1808 を「18 08.00 00」と区切ってみます。

手順左の列でつくる数式右の列の残り答え
1418 をこえない一番大きい2乗は 4×4=1618−16=24
24+4=8 のうしろに数を足して 8208 をおろして208。82×2=164208−164=4442
382+2=84 のうしろに数を足して 84500 をおろして4400。845×5=42254400−4225=17542.5
4845+5=850 のうしろに数を足して 850200 をおろして17500。8502×2=1700417500−17004=49642.52

小数第1位までなら、√1808 は約 42.5 です。手順2で 83×3=249 は208をこえるので、2 を選んでいます。

素因数分解でルートが外せることもある

ルートの中の数を素因数分解すると、筆算をしなくても答えが出る時があります。

前に素因数分解した 1764=2×2×3×3×7×7 は、同じ数が2つずつそろっています。2つずつ組にして1つずつ取り出すと 2×3×7=42 なので、√1764=42 です。42×42=1764 で確かめられます。

『開平法と素因数分解はつながっているんだ』と気づくと、それぞれの筆算の意味が見えてきますよ。

虫食い算・筆算の穴埋めの解き方

虫食い算は、筆算の一部の数字が□になっていて、そこに入る数を考えるパズルです。筆算の穴埋め問題とも呼ばれます。

『どこから手をつければいいの?』と止まってしまいますよね。コツは、一の位から順に、繰り上がりと繰り下がりを考えながら決めていくことです。

足し算の虫食い算

百の位十の位一の位
3□7
+27□
答え621
  • 一の位: 7+□ の一の位が1になるのは □=4。7+4=11 で、十の位へ1繰り上がる
  • 十の位: □+7+1 の一の位が2になるのは □=4。4+7+1=12 で、百の位へ1繰り上がる
  • 百の位: 3+2+1=6 で合っている

答えは 347+274=621 です。

引き算の虫食い算

百の位十の位一の位
5□3
−26□
答え□87
  • 一の位: 3−□ で7にはならないので、繰り下がって 13−□=7。□=6
  • 十の位: 1減った □−1 から6をひいて8。これも繰り下がって、□−1+10−6=8 なので □=5
  • 百の位: 1減った 5−1=4 から2をひいて2

答えは 553−266=287 です。287+266=553 で確かめられます。

かけ算の虫食い算

虫食い算のかけ算の筆算も、一の位から考えるのは同じです。

百の位十の位一の位
□3
×4
答え17□
  • 一の位: 3×4=12 なので、□=2。十の位へ1繰り上がる
  • 十の位: □×4+1=17 になる数を探す。□×4=16 なので □=4

答えは 43×4=172 です。

虫食い算を一の位から解いていく手順をまとめた図解
虫食い算を解く時のコツ
  • 一の位から順番に決める
  • 繰り上がり・繰り下がりがあるかを、毎回メモしておく
  • 候補がいくつかある時は、全部書き出してから絞る
  • 決まったら、最後に筆算で計算して確かめる

筆算の穴埋め問題をもっと解きたい時は、筆算プリント・問題の選び方|答えつき練習問題と進め方も参考にしてみてください。

家で練習を続けるなら

素因数分解も開平法も虫食い算も、土台になっているのは割り算・掛け算の筆算です。中学の内容で止まった時は、小学校の筆算まで戻って確かめると、意外とすっきりすることがあります。

すららは、株式会社すららネットが運営する無学年方式のオンライン教材です。学年にとらわれずに前の内容に戻って学べるので、気になる方は無料体験で画面を見てみてください。

家庭学習教材

筆算でつまずく所を、アニメの授業で見直してみる

すららは、学年にとらわれずにさかのぼって学べる無学年式のオンライン教材です。キャラクターとの対話形式のレクチャーとAI搭載のドリルで、パソコンやタブレットから一人でも進められます。合うかどうかは無料体験で確かめられます。

無料体験すららの無料体験を見てみる

(すららの公式サイトに移動します。最新の内容は公式サイトで確認してください)

よくある相談:ルートや素因数分解の筆算

ここでは、ネットの相談サイトに寄せられている、ルートや素因数分解の筆算の悩みから、よく見られるものを要約して紹介します。

相談1 ルート3を整数で表すとどうなる?

ルート3を整数で表すとどうなるのか、分かりやすく知りたい、という相談です。

ルート3は整数ではぴったり表せません。1×1=1、2×2=4 なので、√3 は1と2の間の数です。

小数に直したい時は、開平法を使います。上の √2 と同じように進めると、√3 は 1.732… と続くことが分かります。

手順式右の列の残り答え
11×1=13−1=21
227×7=189200−189=111.7
3343×3=10291100−1029=711.73
43462×2=69247100−6924=1761.732

相談2 素因数分解のあの筆算の名前は?

素因数分解の時に使う、割り算の筆算を逆さにしたような書き方の名前を知りたい、という相談です。

前に紹介したとおり、「はしご算」「すだれ算」などと呼ばれることがあります。呼び方は1つに決まっていないので、テストで名前を書く必要がある時は、授業で習った呼び方を使ってみてください。

補足

筆算の歴史が気になる方は、筆算の歴史|関孝和と和算・海外の筆算と英語の言い方で、日本の和算と筆算の関わりを紹介しています。

相談3 開平法はなぜ2けたずつ区切るの?

開平法の筆算で、ルートの中の数を小数点から2けたずつ区切ると答えの各桁がたつけれど、なぜ2けたずつなのか、という相談です。

答えの1けたが、2乗するともとの数の2けた分になるからです。例えば答えが2けたなら、2乗した数は3けたか4けたになります。

そのため、もとの数を2けたずつに区切ると、区切り1つにつき答えが1けたずつ決まっていきます。

よくある質問

素因数分解の筆算のやり方を簡単に教えてください。

左に割る素数、右に割られる数を書き、2・3・5・7と小さい素数から順に割っていきます。商を下に書いて、素数が残ったら終わりです。左の列と最後の数をかけ合わせると答えになります。

大きい数の素因数分解で、毎回筆算するのは普通ですか?

大きい数では筆算を使うのはふつうのことです。慣れてくると、2や3で割れるかを目印で先に見分けられるようになり、筆算の行数が減っていきます。

ユークリッドの互除法は、どんな時に使いますか?

2つの大きな数の最大公約数を出したい時に使います。素因数分解が大変な数でも、割り算をくり返すだけで最大公約数が分かります。

開平法は電卓がない時以外にも役立ちますか?

ルートがだいたいどのくらいの数かを手で確かめたい時に役立ちます。割り算の筆算と同じ「たてる・かける・ひく・おろす」の動きを使うので、筆算の練習にもなります。

虫食い算が解けない時はどうしたらいいですか?

一の位から順番に考えてみてください。繰り上がりや繰り下がりをメモしながら、入る数の候補を書き出して絞っていくと、解けることが多いです。

まとめ

素因数分解の筆算、ユークリッドの互除法、開平法、虫食い算は、どれも小学校の割り算・掛け算・足し算・引き算の筆算が土台になっています。

手の動きが似ているところを見つけると、新しい筆算もこわくなくなります。筆算の基本からもう一度確かめたい時は、筆算とは?意味・読み方とやり方の基本をやさしく解説を読んでみてください。

この記事の要点
  • 素因数分解の筆算は「はしご算」「すだれ算」などと呼ばれ、小さい素数で割り続ける
  • ユークリッドの互除法は、前の割る数をあまりで割り直し、あまりが0で終わる
  • 開平法は、数を2けたずつ区切って、割り算の筆算に似た手順でルートを小数に直す
  • 虫食い算は、一の位から繰り上がり・繰り下がりを考えて数を決める
  • どの筆算も、最後にかけ算や筆算で確かめる
筆算ドットコム

筆算ドットコム 編集部

足し算・引き算・掛け算・割り算・小数の筆算のやり方を、学年ごとのつまずきや家庭での教え方、練習の方法までまとめている算数の情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次