掛け算の筆算のやり方|3年生で習う2桁×1桁から

机の上の方眼ノートと鉛筆を持つ子どもの手元と、掛け算の筆算のやり方を紹介する記事タイトル

当サイトは文部科学省の学習指導要領や国立教育政策研究所の調査など公的機関の情報と、教材・サービスの公式サイトの公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。教え方や書き方は学校・教科書によって違うことがあるため、学校で習った方法も大切にしてください。記事内には広告を含む場合があります。

宿題のプリントを前に、子どもの手が止まっている。『九九は言えるのに、どうして筆算になると間違えるんだろう』と思った方も多いはずです。

結論から言うと、掛け算の筆算は「一の位からかける」「九九で答えを出す」「繰り上がりをメモして後で足す」の3つだけで解けます。

この記事では、3年生で習う2桁×1桁と3桁×1桁の例題を1つずつ解きながら、どこでつまずきやすいかと家での練習の進め方を紹介します。

目次

掛け算の筆算は「3つの約束」だけ押さえれば大丈夫

先に結論

掛け算の筆算のやり方は、どの問題でも同じです。下の数を、上の数の一の位から順番にかけていきます。九九の答えが2けたになったら、十の位の数を小さくメモして、次の答えに足します。

『筆算って、ルールがたくさんあって覚えきれない』と感じる方もいますよね。

実は、掛け算の筆算の仕方は次の3つに集約できます。

約束することよくある間違い
1. 一の位から右はしの数から順に、左へ進む左の数からかけてしまう
2. 九九を使う1回のかけ算は九九の範囲だけ九九の言い間違い
3. 繰り上がりは後で足す九九の答えの十の位をメモして、次の答えに足す足し忘れる、メモの数にもかけてしまう

この3つが分かっていれば、2桁×1桁でも3桁×1桁でも、同じ流れで解けるんです。

掛け算の筆算は何年生で習う?

学習指導要領(平成29年告示)では、かけ算の筆算は3年生の内容です。

原文は「2位数や3位数に1位数や2位数をかける乗法の計算が,乗法九九などの基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方について理解すること。」となっています(文部科学省)。

2年生では九九と「簡単な場合について,2位数と1位数との乗法の計算の仕方を知ること」まで習います。ここにはまだ「筆算」という言葉は出てきません。

補足

習う時期や順番は、教科書によって前後することがあります。学年ごとの流れは筆算は何年生で習う?足し算から小数まで学年別の流れにまとめています。

算数のかけ算の筆算は「九九の組み合わせ」

算数のかけ算の筆算は、大きなかけ算を九九の大きさに分けて解く方法です。

文部科学省の解説では、23×4 を 20×4 と 3×4 に分ける考えが「筆算の仕方に結び付く考え」と書かれています。

つまり筆算は、新しい計算ではありません。九九を何回か使って、最後にまとめているだけなんです。

2桁×1桁の掛け算の筆算のやり方

ここからは、実際の問題を解きながら見ていきます。お子さんと一緒に、紙に書きながら読んでみてください。

2桁×1桁の筆算の流れ
  1. 上に2桁の数、下に1桁の数を、一の位をそろえて書く
  2. 下の数と、上の数の一の位をかける
  3. 答えの一の位を書き、十の位があれば小さくメモする
  4. 下の数と、上の数の十の位をかける
  5. メモした繰り上がりを足して、答えを書く

例題1 繰り上がりのない 23×3

まずは繰り上がりのない問題から始めましょう。

十の位一の位
23
×3
答え69

一の位は「3×3=9」なので、答えの一の位に9を書きます。

次に十の位で「2×3=6」です。答えの十の位に6を書いて、23×3=69 になります。

ここで「答えは6と9を並べただけ」と気づけると、筆算の形が見えてきますよ。

例題2 繰り上がりのある 47×6

次は、3年生がいちばんつまずきやすい繰り上がりのある問題です。

百の位十の位一の位
繰り上がり4
47
×6
答え282
  1. 一の位:7×6=42。答えの一の位に2を書き、4は十の位の上に小さくメモします。
  2. 十の位:4×6=24。ここにメモの4を足して、24+4=28 です。
  3. 28を、十の位と百の位に書きます。答えは 47×6=282 です。

ここが大事なところです。メモの4は「かける」のではなく「足す」数なんです。

『4×6の次に、メモの4にも6をかけちゃった』という間違いは、とてもよく見られます。

よくある失敗
  • 繰り上がりのメモを足し忘れて、242と書いてしまう
  • メモの数にもかけてしまい、答えが大きくなりすぎる
  • 九九の答えの42を、そのまま一の位に書いてしまう

なぜこのやり方で答えが出るの?

子どもに『どうしてこうなるの?』と聞かれたら、分けて計算した表を見せてあげてください。

分け方式答え
47の「40」に6をかける40×6240
47の「7」に6をかける7×642
2つを足す240+42282

筆算でしていることは、この表と同じです。一の位の42と十の位の240を、位をそろえて足しているだけなんです。

「40×6って、4×6の答えに0をつけた数だね」
「そう。だから十の位で4×6をしているんだよ」

こんなやり取りができると、筆算の意味がぐっと分かりやすくなります。

繰り上がりはどこに書く?

繰り上がりのメモをどこに書くかは、学校や教科書で少しずつ違います。

書く場所特徴
上の数の、すぐ上に小さく次にかける数のそばにあるので、足し忘れにくい
答えを書く線のすぐ上に小さく足し算の筆算と同じ場所なので、覚えやすい
書かずに覚えておく慣れてからの方法。最初はメモを書く方が安心

学校で習った書き方があれば、それに合わせてください。家で別の書き方を教えると、子どもが混乱してしまうことがあります。

繰り上がりの書き方については、筆算の繰り上がりはどこに書く?書く場所と小さい数字の扱いでくわしく紹介しています。

3桁×1桁の掛け算の筆算のやり方

3桁になっても、やり方は2桁×1桁と同じです。かける回数が1回増えるだけですよ。

ここだけ覚えておく

3桁×1桁は、一の位、十の位、百の位の順に3回かけます。繰り上がりが2回続くこともあるので、メモを1回ずつ消していくと迷いません。

例題3 繰り上がりのない 213×3

百の位十の位一の位
213
×3
答え639

一の位から「3×3=9」「1×3=3」「2×3=6」と順にかけます。答えは 213×3=639 です。

まずはこのような問題で、「右から順に3回かける」流れに慣れておきましょう。

例題4 繰り上がりが2回ある 368×7

次は、繰り上がりが2回続く問題です。

千の位百の位十の位一の位
繰り上がり45
368
×7
答え2576
  1. 一の位:8×7=56。6を書いて、5をメモします。
  2. 十の位:6×7=42。メモの5を足して 42+5=47。7を書いて、4をメモします。
  3. 百の位:3×7=21。メモの4を足して 21+4=25。25をそのまま書きます。

答えは 368×7=2576 です。

繰り上がりが2つ並ぶと、『どっちのメモを足すんだっけ』と迷いやすいですよね。

使い終わったメモに小さく斜線を引いておくと、次に足す数が1つに絞れます。

例題5 0がある 405×6

上の数に0が入っている時は、0のかけ算に気をつけます。

千の位百の位十の位一の位
繰り上がり3
405
×6
答え2430
  1. 一の位:5×6=30。0を書いて、3をメモします。
  2. 十の位:0×6=0。メモの3を足して 0+3=3。3を書きます。
  3. 百の位:4×6=24。24を書きます。

答えは 405×6=2430 です。

0×6=0 のあとに、メモの3を足すのを忘れやすいところなんです。学習指導要領でも、3年生で「乗数又は被乗数が0の場合の計算についても取り扱う」とされています。

全国学力調査で見る「0がある掛け算」

国立教育政策研究所の全国学力・学習状況調査では、令和4年度 小学校算数 1(1) で 1050×4 が出題され、全国(公立)の正答率は92.4%でした。報告書では「空位のある整数の乗法では,位に気を付けて処理できるようにすることが大切」とまとめられています。

どこが難しい?九九の回数と繰り上がりで見る「難しさの段階」

ここからは少し見方を変えて、掛け算の筆算を「難しさの段階」に並べてみます。

『うちの子は、どこまでできていて、どこから苦手なんだろう』と思った時の目安になりますよ。

難しさを決めているのは、主に2つです。1つは「九九を何回使うか」、もう1つは「繰り上がりをいくつ覚えておくか」です。

段階例題(答え)九九の回数覚えておく繰り上がり気をつける所
132×3(96)2回なし位をそろえて書く
226×3(78)2回1つメモを足す
352×4(208)2回なし答えが3桁になる
458×7(406)2回1つ足すと十の位が0になる
5213×3(639)3回なし3回かける流れ
6368×7(2576)3回2つメモが続けて出る
7405×6(2430)3回1つ0のかけ算とメモ

この表は、筆算ドットコム編集部が例題の手順を数えて並べたものです。教科書の順番とは同じではありません。

掛け算の筆算を九九の回数と繰り上がりの数で段階分けした図解

段階4の 58×7 が意外と手ごわい

表の段階4は、見た目は簡単なのに間違いが出やすい問題です。

百の位十の位一の位
繰り上がり5
58
×7
答え406

一の位は 8×7=56 で、6を書いて5をメモします。十の位は 5×7=35、メモの5を足して 35+5=40 です。

40を書く時に、十の位に「0」を書き忘れて「46」としてしまうことがあるんです。

つまずいている段階を見つけるチェック

間違えた問題でチェックしたいこと
  • 一の位からかけているか
  • 九九の答えそのものが合っているか
  • 繰り上がりのメモを書いているか
  • メモを足すタイミングが合っているか
  • 答えの位がずれていないか

間違いを見つけたら、「どこまでは合っていたか」を一緒に確かめてみてください。

全部をやり直させるより、止まった段階の問題だけを数問解く方が、子どもの負担も小さく済みます。

2桁×2桁は次のステップ

3年生では、2桁や3桁に2桁をかける筆算も習います。九九を4回以上使い、最後に足し算もするので、段階はさらに上がります。

2桁をかける筆算は、2桁×2桁・3桁×2桁の掛け算の筆算|0がある時の書き方で例題つきで紹介しています。

よくある相談:掛け算の筆算で多い疑問

ここでは、ネットの相談サイトに寄せられている掛け算の筆算の質問から、よく見られるものを要約して紹介します。

相談1 3年生の教科書の繰り上がりの書き方が気になる

3年生の教科書を見て、かけ算の筆算の繰り上がりの書き方が気になったという相談です。自分が習った書き方と違って見えて、どう教えればいいか迷ったという内容でした。

実は、繰り上がりをメモする場所は、教科書や先生によって違うことがあります。

回答のポイント

家では、子どもが学校で習った書き方に合わせるのがいちばんです。大事なのは場所ではなく、メモした数を「次の答えに足す」ことです。書き方が気になる時は、ノートや教科書を一緒に見て確かめてみてください。

相談2 左からかけてもいいの?

かけ算を左から解いてもいいのか、右から解くべきかという相談です。

『左から計算した方が、数の大きさがつかみやすいのでは』と思う方もいますよね。

左からかけると、例えば 47×6 では、先に 4×6=24 を書いた後で 7×6=42 の4を足すことになります。書いた数を直す手間が出てしまうんです。

かける順番47×6 の場合書き直し
右(一の位)から42の4をメモして、24+4=28なし
左(十の位)から先に24を書き、後から42の4を足して直すあり

筆算の形で書くなら、一の位からかける方が書き直しが出ません。暗算で大まかな大きさをつかむ時は、左から考えるのも役に立ちます。

相談3 掛け算の筆算で線を定規で引くのは大事?

学校で「掛け算の筆算の線は定規で引くように」と言われて、そこまで大事なのかと疑問に思ったという相談です。

定規で線を引くと、位の列がまっすぐそろいます。答えを書く位置がずれにくくなるので、計算ミスを減らす意味があるんです。

補足

線を引く理由と、定規の使い方のコツは筆算に定規を使うのはなぜ?線を引く理由と使い方で紹介しています。

相談4 かけ算の筆算は何月ごろに習うの?

かけ算の筆算を3年生の何月ごろに習うのか知りたい、という相談も見られます。

学習指導要領で決まっているのは「3年生で習う」ところまでです。何月ごろかは教科書や学校の進み方によって違います。

時期を知りたい時は、教科書の目次や、学校から配られる学習予定を見てみてください。

家で掛け算の筆算を練習する時の進め方

最後に、家で掛け算の筆算を練習する時の進め方を紹介します。

『毎日ドリルを何ページもやらせた方がいいのかな』と迷う方も多いですよね。

結論から言うと、量よりも「つまずいている段階の問題を少しずつ」が近道です。

1回の練習の流れ
  1. 九九の段を1つだけ声に出して確かめる
  2. 前の表で「できる段階」の問題を1問解く
  3. 「つまずいている段階」の問題を2〜3問解く
  4. 答え合わせをして、間違えた所を一緒に見る
  5. 最後に、できた問題を1問解いて終わる

先に答えの大きさを見積もる

筆算の前に、答えがだいたいどのくらいになるかを考えるのも効果的です。

文部科学省の解説には、19×6 の答えは、20×6=120 より小さくなる、という見積りの例が出てきます。

実際に計算すると 19×6=114 です。見積りの120に近いので、「たぶん合っている」と分かります。

もし答えが1000を超えていたら、どこかでかけすぎていると気づけますよね。

かけ算の筆算を文章題で使ってみる

計算に慣れてきたら、文章題で使ってみるのもおすすめです。式を自分で立てると、かけ算の意味も一緒に確かめられます。

問題式答え
1ふくろに24こ入ったあめが、3ふくろあります。あめは全部で何こ?24×372こ
1さつ128ページの本を、4さつ読みました。全部で何ページ?128×4512ページ

128×4 は、一の位が 8×4=32、十の位が 2×4=8 にメモの3を足して11、百の位が 1×4=4 にメモの1を足して5 です。

『どっちの数を上に書くの?』と聞かれたら、桁の多い数を上に書くと筆算が短く済むよ、と伝えてみてください。

教える時の声かけ

家で教えていると、つい『なんでできないの』と言いたくなる場面もあります。

そう感じるのは自然なことです。ただ、子どもも間違えたくて間違えているわけではありません。

「ここまではちゃんと合ってるね。メモの数はどうなったかな」
「あ、足すのを忘れてた」

こんなふうに、合っている所から声をかけると、子どもも自分で間違いに気づきやすくなります。

家庭での教え方のコツは、筆算の教え方|家庭で子どもに割り算・引き算を教えるコツでも紹介しています。

家で掛け算の筆算を練習する時の1回の流れを示した図解

練習を続ける方法を考える

掛け算の筆算は、4年生のわり算の筆算や、小数のかけ算でもそのまま使います。小数のかけ算の筆算は小数の筆算のやり方|足し算・引き算・かけ算の小数点の位置で紹介しています。

だからこそ、3年生のうちに「つまずいた段階に戻って練習できる」環境があると安心です。

学年にとらわれずに前の単元へ戻れる教材を使うと、家で教える負担も軽くできます。

家庭学習教材

筆算でつまずく所を、アニメの授業で見直してみる

すららは、学年にとらわれずにさかのぼって学べる無学年式のオンライン教材です。キャラクターとの対話形式のレクチャーとAI搭載のドリルで、パソコンやタブレットから一人でも進められます。合うかどうかは無料体験で確かめられます。

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机の上で方眼ノートに鉛筆で筆算を書いている子どもの手元

よくある質問

掛け算の筆算は何年生で習いますか?

学習指導要領(平成29年告示)では3年生の内容です。2桁や3桁の数に1桁や2桁の数をかける筆算を習います。習う時期や順番は、教科書によって前後することがあります。

掛け算の筆算は、上から下にかけてもいいですか?

下の1桁の数を、上の数の一の位から順にかけるのが一般的な書き方です。学校で習った書き方があれば、それに合わせてください。順番をそろえておくと、繰り上がりのメモを足す場所も迷いにくくなります。

繰り上がりのメモは消した方がいいですか?

消さなくて大丈夫です。使い終わったメモに小さく斜線を引いておくと、次に足す数が分かりやすくなります。答え合わせの時に、どこで間違えたかを見つける手がかりにもなります。

九九は言えるのに筆算で間違えるのはなぜですか?

筆算では九九のほかに、位をそろえる、繰り上がりを足す、という作業も同時にします。間違えた問題を見て、九九・繰り上がり・位のどこで止まったかを確かめると、練習する所が見えてきます。

2桁×1桁は筆算を使わずに暗算でできた方がいいですか?

文部科学省の解説では、暗算でできるとよい「簡単な計算」の例として、2桁に1桁をかける程度のかけ算が挙げられています。まずは筆算で正しく解けることを大切にして、慣れてきたら暗算も少しずつ試してみてください。

まとめ

掛け算の筆算は、一の位から九九でかけて、繰り上がりをメモして足す、この3つの約束で解けます。

2桁×1桁でも3桁×1桁でも流れは同じです。つまずいた時は、難しさの段階表で止まった所を見つけて、その段階の問題を少しずつ練習してみてください。

筆算の全体像は筆算とは?意味・読み方とやり方の基本をやさしく解説にまとめています。

この記事の要点
  • 掛け算の筆算は「一の位から」「九九で」「繰り上がりは後で足す」の3つ
  • 学習指導要領では3年生で、2桁や3桁に1桁や2桁をかける筆算を習う
  • 繰り上がりのメモは「かける」のではなく「足す」数
  • 0がある問題は、0×の答えにメモを足し忘れやすい
  • 九九の回数と繰り上がりの数で、つまずいている段階を見つけて練習する
筆算ドットコム

筆算ドットコム 編集部

足し算・引き算・掛け算・割り算・小数の筆算のやり方を、学年ごとのつまずきや家庭での教え方、練習の方法までまとめている算数の情報サイトです。 公式サイト

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